1−4.絶壁のイワカガミ
1972年7月末
この春都内の大学に入学し、すかさず 渓友会という 同好会にはいった 私は今
南アルプスは塩見岳の岸壁にへばりついている。
初めての3000m級の縦走の恐さと夏合宿のため50kgを越えるキスリングの重さの為だ
実地訓練で3点確保を始めて教わった。 手足合計で4点だが、
移動するときは1点だけを動かし、残りの3点は岩につけておれば、滑落する確立が極端に低くなる
その教わったばかりの、3点確保で登りだすと、眼前の絶壁にピンク色した小さな花をつけた可憐な高山植物が、
雪渓で冷やされた風にあおられ、リンリンと鈴の音を出していた。
その先輩がイワカガミ と 教えてくれた
それ以来、冷たい風になびく高山植物を見ると鈴の音が聞こえる
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